スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:-- 】 | スポンサー広告 | page top↑
「菜の花忌」に参加!
昨日、司馬遼太郎さんの命日にちなんで毎年行われている、「菜の花忌」に行ってきました。日比谷公会堂にて。

20060226180044.jpg


ご夫人の福田みどりさんが開会に先立ってご挨拶。

第1部…第9回司馬遼太郎賞、フェローシップの贈賞式。
司馬遼太郎賞は北方謙三さんの『水滸伝』。スピーチもなかなかおもしろかったです。

第2部…「『坂の上の雲』-日本の青春」と題してのシンポジウム。

20060226180213.jpg



司会はNHKの古屋アナ。パネリストは井上ひさし、関川夏央、芳賀徹、山崎正和の各氏。なかなか壮観でした。内容は近々紙面にも出ると思います。5月にNHKで放映するそうです。詳細はそちらに譲るとして…

司馬さんのスタンスや小説技法、テーマなどについて、ああでもない、こうでもないと論じておられました。

ちなみに、『坂の上の雲』という作品は、正岡子規、秋山兄弟を主人公に据えながら、日露戦争前後の時代を描いた作品です。

パネリストの諸先生方も仰っていましたが、この作品には明治という時代に生きた人間の明るさ、そしてはかなさみたいなものがある。
司馬さんは、その時代を懸命に生きようとした人間に対する「いじらしさ」を持っていた、というようなことを井上ひさしさんが指摘しておられましたが、なるほど、と思いました。

日露戦争は国運を賭けた綱渡りの戦争でしたが、かろうじて日本の国益を守ることができたものの、その辛勝に日本人が浮かれてしまい、物事のリアリティよりも観念が先立つようになってしまった。それは皮肉にも、後の日本の悲劇(敗戦)の伏線となってしまった…。

『坂の上の雲』が掲載されたのは1968~72年。高度経済成長末期ですね。その「意味」についても話題になりました。

私なりの言葉に整理すると、明治期の「明るさ」と、高度経済成長期の「明るさ」というものには、どこか似た要素があったのではないか。
敗戦から立ち直った日本人は、今度は「豊かな生活」を求めてガムシャラに走り出した。しかし、その結果は…?

『坂の上の雲』のエンディングというのは、あっけないんです。
五木寛之さんもいつか仰っていましたが、「坂の上の雲」というのはアイロニー(皮肉)のようなもの。一生懸命坂を上っていって、ようやく頂上にたどり着いたと思ったら、それは雲をつかむような話だった。
日露戦争後の国民的熱狂をよそに、主人公たちはひっそりと幕を閉じていきます。その後の日本史をたどっていけば、そこにあるのは無常感とでもいうようなものでしょうか。

だから、高度経済成長期にも、司馬さんはどこか空しさみたいなものを感じていたのではないか。支えにしていた「国」はなくなった。その空虚を埋めるものが、今度は「モノ」になった…。まあ、私の誤読かもしれませんが。


司馬さんは、私はリアリストだと思っています。伝奇的なものも書いてはいますが、基本はリアリスト。歴史上の人物でも、リアリストを高く評価している。
あまりにもリアリストすぎて、司馬さんの本を読んでいると、ときどき私も暗澹たる気持ちになることがあります。

その一方に、司馬さんが終生憧憬を抱いていたようですが、モンゴルの草原のイメージがある。「空」の世界。からっとした世界。その文脈で仏教を司馬さんは評価しているところもあるようですし、たとえば具体的には太閤になる前の秀吉とか、そういう人間像への愛着も感じられる。リアリズムを補償するもの、とでもいいましょうか。

その「空」を背景にして、歴史の中で個々人を眺めるとき、どうしようもない愛惜の思いが出てくるのではないか。懸命に生きる人間の健気さみたいなもの。美しさみたいなもの。一方で、業深き存在故に、過ちを繰り返してしまう人間への、憤りやら嘆きやら、切なさみたいなもの。それが先述の「いじらしさ」なのかな、と。私なりのとらえ方ですけどね。

司馬さんが好きだったという菜の花ですが、あの実用的ではあるが可憐な花を改めて眺めてみると、そこに司馬さんの世界が-美学って言うと言い過ぎかな-映されているような気がします。

せっかく分けていただいた菜の花を、喫茶店に置き忘れてきてしまった、というオチなのですが(笑)


20060226180311.jpg

スポンサーサイト
【2006/02/26 22:07 】 | 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
「世界らん展」に行ってきました | ホーム | 江原啓之 『江原啓之のスピリチュアル子育て』
コメント
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
| home |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。